岩間ひかるです。
私は新型コロナウィルスのパンデミック期間のほとんどを、
砂漠にある自前のグランピング施設Jardin Kotoriで過ごしました。
名付けて「サハラ疎開生活」
この疎開期間に、未来へ向けた一手として
エコファーム・サハラ
という農場を、砂漠に造りました。
いったん完成の形が整って、我々一家はマラケシュに移住して
今日で1年半ほどが過ぎたところです。
このタイミングになってやっと、
エコファーム・サハラのウェブサイトに着手し始めました。
制作は外注しますが、制作を始動するにあたって改めて
エコファーム・サハラとはなんなのか?
を炙り出す必要がありました。
産みの苦しみアゲイン
エコファーム・サハラの建設資金は、
クラウドファンディングで調達しています。
支援を呼びかける時点では、
エコファームは私の頭の中にしかない形なき存在。
エコファームが形あるものとして実現した今、
改めて考えるエコファームの意義や期待。
それは机上の空論として考えていた地点とは少し違う視座です。
その気持ちを言語化することが、
全然手が進まなくて・・・
手を動かせば片付けられる作業じゃなくて、
未来にイメージを膨らませながら内側にもどんどん掘り下げる
そんな創造的なワーク。
こなす毎日を過ごしてばかりで、
クリエイティブなことに脳を使っていなかったので、
まずは”課題に向かう姿勢づくり”に苦労しました。
心地よいカフェに行ってみたり
歩いてみたり
友達としゃべってみたり
それで、難産の末に荒削りの
エコファームの概念を産み落としました。
実際に建設する過程で生じたいろんな出来事や自分の感情
ナツメヤシの木を植えた時点で芽生えた新しい感情
そこまでの過程をうんと引いたアングルから眺めた時に見えた視野
クラウドファンディングの時に発していた構想と
実際にエコファームが形を成した今とでは
見えてくる世界が違いました。
いちばんの大きな違いは、時間のスケールです。
湧いて出た300年設定
掘削機で64mの深さから水脈を見つけ出し、
100年生きるナツメヤシを植え、
ナツメヤシの世代交代まで考えたら
エコファーム・サハラには
300年続く可能性があるということが
新たな設定として加わりました。
そして、ナツメヤシの木に
その木のオーナーさんのプレートを打った時に
300年という時間軸はとてもリアルな概念として実感できました。
300年後、もちろん私は生きていません。
人生80年と設定するならば、4世代くらいの世代交代をするでしょう。
エコファームを私は単に始めた人に過ぎず、
着実に繁栄を迎えるためには、
子の世代、孫の世代、ひ孫の世代にまで
私が考えている構想が伝わり、伝え繋いでもらう必要があります。
今から私は羊皮かパピルス紙に
ごつい巻物を書き始めた方が良いのかもしれません(笑)
つたないながらも書き出してみると、
私がエコファームに期待する意義はこのようなことでした。
○土地内で資源が循環する
○作物をとおして土地の外へ思いやりが循環する
○食べ物を作る力を育む
○先人の叡智を貯蔵する
正直なところ、最初にファームを作ろうと思った時の私は
コロナ禍で収入が途絶え、飢えへの不安がありました。
そんな時って近視眼的になりがちで
ひとまず目先の飢えをどう凌ぐのか、を画策しがちです。
いまになってみれば、エコファームがあることで
今年や来年にお腹いっぱい食べられるわけではないです。
しかし2020年代を生きた地球人として、
人類の未来に向けた大きな一手を打てたな
という実感があります。
最初に思いついた時にはここまでは描き切れていませんでしたが、
たいそうなことをおっ始めましたなぁと思います。
死ぬまでに成し遂げたい3つのこと
だからこそ、
その1
私はできるだけナツメヤシの、エコファームの成長過程を
長く見届けるために長生きしたいと思いました。
そのために肉体と心は健康でいなきゃなぁと思います。
その2
二人いる自分の子どもたちに、
私の考えていることが分かってもらえるように、
そして彼らの子孫にまで伝えてもらえるように、
意思疎通ができるようでいたいなぁと思います。
その3
エコファームのここまでの経緯でさえ
ベルベル社会の強固なネットワークによって
バランスが取れている面が往々にしてあるので、
夫の家族の協力は欠かせません。
もっと義理家族と関係を深めないとなぁと思います。
人生80年と設定した場合に、私の今生はもう後半戦に突入しています。
エコファームの存在が、私の後半生の生き方の指針をも
炙り出してくれたのです。
偶然にも一致してた The Seventh Generations Principle
実際にエコファームへ来たことのあるお友だちと
意見交換をしていた時に、彼女からこんなことを聞きました。
ネイティブ・アメリカンには
七世代先を考えよ
Iroquois族の格言
という教えがあるそうです。
何かを決めるときには、その影響を7世代先にどうなっているのかを
考えて今の判断をする、という意です。
私は彼女から聞くまでこの格言を知らなかったのですが、
彼らの言う七世代先と、エコファームの300年後というのが
偶然にも同じ世界観に思えました。
今生きている私は、
300年後にエコファームがありたい姿であれるように
今の自分ができることをする。
ただそれだけだ。
と思えることが、自分の生き方を
とても穏やかなものにしてくれるような気がします。
2023年3月には、以上のような私の気持ちを繁栄した
エコファームのウェブサイトが公開されます。
そのタイミングでまたお知らせします。
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